本の紹介です。あの話題作を手にとりました。
いわゆる「村上主義者」かどうかはわかりませんが、作品をまとめて全部読んだ時期があり、どのように小説を書いているのか、その舞台裏に関心がありました。
印象深い部分はいくつかありましたが、小説を書くときのひとつの考え方、スタイルが示されていました。
小説の、というよりも、全てに共通する文章のとらえ方、といってもよいかもしれません。
職業的文筆家ではなくとも、このようなブログを書いていく上でも、参考にしていきたいと思います。
「第4回 オリジナリティーについて」から、印象的な部分を一部引用します。
もしあなたが何かを自由に表現したいと望んでいるなら、「自分が何を求めているか?」というよりむしろ「何かを求めていない自分とはそもそもどんなものか?」ということを、そのような姿を、頭の中でヴィジュアライズしてみるといいかもしれません。「自分が何を求めているか?」という問題を正面からまっすぐ追求していくと、話は避けがたく重くなります。そして多くの場合、話が重くなればなるほど自由さは遠のき、フットワークが鈍くなります。フットワークが鈍くなれば、文章は勢いを失っていきます。勢いのない文章は人を―あるいは自分自身をも―惹きつけることができません。
自己表現なんかしなくたって生きていけます。にもかかわらず、あなたは何かを表現したいと願う。この「にもかかわらず」こそ、自分の本来の姿なのだ、と書かれています。
文章を書くことについてだけではなく、現代社会において、何かを目標としたり、肩肘張って頑張ろうとすることをいったん脇へ置いて、何もしない、何も求めない、という境地まで引き下がることは、大切なことかもしれません。
ブログを書くときも、もっと自然な文脈の中で、自由に表現していければと思います。趣味としてのブロガーとでも言っておきましょうか。
フィクションのとらえ方についても、少し着想が得られましたが、もし書きたくなる衝動があれば、象の操作室に書きたいと思います。