ついに全国がん登録が開始
2016年1月より、新たな「全国がん登録」が開始されます。これは、2013年に成立した「がん登録推進法」 *1に基づいて実施されるものです。
詳細はこちらの解説へどうぞ。
これまで日本のがんに関する統計は、非常に残念なものでした。
従来の制度「地域がん登録」は医療機関からのデータ提供が任意となっており、さらに登録データは匿名となっていました。
この方法ではすべての患者データは収集できず、場合によっては同じ患者が二重登録されるようなことも起こります。
登録の敷居が低いという利点はあったと思われますが、肝心の収集データが不完全なものになっていました。
より正確な情報に基づいてがんの治療方針を決定したり、がん対策を検討するためには、この新たな「全国がん登録」は必要不可欠な仕組みであると言えます。
がん医療の新時代へ
いい加減なデータに基づくがん医療の時代はもう終わり、新たな時代の幕開けです。
どのような実態が明らかになるのでしょうか?私はかなり期待しています。
朝日新聞に掲載された、石塚広志さんの記事 *2 には、その一端が紹介されています。一部引用します。
今月5日のシンポジウムで、弘前大付属病院の松坂方士准教授は、青森県の地域がん登録の分析結果を公表した。青森は平均寿命が全国一短い「短命県」で、がんの死亡率も最も高い。
地域がん登録からは、がんの罹患率は全国とほぼ同じなのに、診断時に進行している割合が高く、早期発見の課題や同じ県内で地域差があることがわかってきたという。一方、検診受診率は全国より高いことが示された。今後、データが充実すれば、その理由が浮き彫りになり、有効な対策を取ることが期待される。
この出典や元データは確認できませんが、青森県は検診受診率は高いのに、診断時には進行しており、がん死亡率が最も高い、ということがわかっているそうです。
検診受診率が高いと、診断時には早期発見ができ、がん死亡率が低くなるはずではなかったのでしょうか?
がん検診ひとつとってみても、何が起きているのか、正確な分析が必要のはずです。
これまでの常識を覆すような、新たながん医療の時代が到来することを期待します。
*2:シリーズ:がんと情報 全国がん登録、来月開始 患者数・生存率を国が一元管理(朝日新聞、2015年12月16日)