ブログをつなぐ場へ
世の中にはとても役立つ書籍や医学論文があります。地域医療の現場で、疑問をすぐに解決してくれるものもあります。
医学論文を要約してまとめてくれる二次情報も充実しています *1 。これらは短時間で検索できるため、忙しい地域医療の現場でとても役立っています。
こうしたもののほかに、最近では役立つブログやウェブサービスもあります。医師や薬剤師が個人で運営するブログの中には、信頼できる情報源となるものもあります。
ブログは発掘する楽しみもありますが、地域医療の現場で二次情報のように有効活用したい、というのが本音です。
こうしたブログやウェブサービスをつなぐことができないだろうか?
将来、新たな言論や情報の発信基地をつくることを目指しながらも、まずはその第一段階として、すでに活躍しているブロガーらをつなぐ場を作ってみることにしました。
「地域医療ジャーナル」というウェブマガジン *2 です。2015年3月に創刊し、月1回月末に発行しています。こちらをぜひご覧ください。
現在の連載記事は、健康食品、メンタルヘルス、かぜの研究、高齢者となっております。もうすぐ7月号が発行されますので、ぜひご覧ください。
正直なところ、最初からそう簡単にはいかないだろう、試行錯誤しながらゆっくり進めよう、と思っておりました。
当初は少数精鋭で、ブロガーの本拠地ブログを紹介する、というスタイルでの企画でした。ところが、ブロガーのみなさんに寄稿をお願いしたところ、新たに連載記事を書き下ろしていただいております。
ありがとうございます!!
趣旨に賛同していただいた優秀なブロガー記者のみなさまのご尽力と読者のみなさまのお陰で、順調な滑り出しとなっております。
心より感謝申し上げます。
2つの方向性
さて、「地域医療ジャーナル」はまだ始まったばかりですが、これからどのような展開を構想(妄想?)しているか、整理するためにここに書いておきたいと思います。
構想には2つの方向性があります。
ひとつは、専門知をさらに普及し、一般化することです。
専門職がさらに活用できる土壌(しくみやサービスを含む)をつくることはもちろんのこと、医療のユーザーである一般住民にも活用できるよう、もっと身近でわかりやすいものを工夫していかなければならないと考えています。
これは情報発信の場と交流、類似のサービスとの連携・乗り入れだけでは達成されないでしょう。次のステップへ踏み込む必要があります。
診察室から専門職や個人をつなぐ、開かれた学術媒体のような、新しいツールを目指します。
もうひとつは、専門知を一般化しないことです。
専門知がわかりやすく情報発信されると、活用されるようになるのでしょうか。これまでの経験から、私はやや懐疑的です。専門知を普及させることが本当にいいことなのかについても、もっと検証されるべきかもしれません。
さらに、専門知と実践の間を埋めるものについても研究が必要です。
考えてみれば、地域医療の現場で何が起こっているのか、よく把握できているとは言えません。実践そのものや現象そのものをもっと直視しなければならないのではないか、そこに踏み込んでいきたいと思います。
そのために何ができるのか、全く新しい挑戦です。
新たな課題
時代はどんどん先に進み、新たな課題が生まれつつあります。思いつくままに箇条書きにしておきます。
くり返しになりますが、従来の方法に甘んじてよいというはずがありません。時代に則した、新たな地域医療のスタイルが構築されるべきでしょう *7 。
今の時代の諸問題を踏まえつつ、少しずつ活動の輪を広げていきたいと思います。
ということで、今後とも地域医療ジャーナルをよろしくお願いいたします。
*1:以前、記事にしたことがあります。この順位はあまり変わっていないのではないかと思います。オンラインテキスト ベスト10 - 地域医療日誌 by COMET
*2:2015年3月創刊、月1回発行、発行責任者 bycomet、月額購読料 250円(税別)。Publishersというウェブサービスを利用して構築していますが、今のところ読者の購読料で運営する個人事業です。
*3:情報検索によって専門知を獲得できる、誤った情報が氾濫する
*4:専門知の更新が追いつかない、二次情報の更新が追いつかない
*5:医学論文や臨床研究に対する不信