本の紹介です。
日本語を用いて科学的な考察や議論を深めることには、英語を用いた場合と比べてメリットがあるのではないか、という論考です。
著者が指摘されているように、確かに英語の専門用語を美しい日本語に翻訳しながら、海外の科学を取り入れようとしてきたこれまでの日本の歩みはすばらしいものであり、これからも継承していくべきでしょう。
当たり前のことと思い、これまであまり意識してもいませんでしたが、先人たちには感謝しなければなりません。その礎の上に、われわれは立たせてもらっているのです。
そして今、そのような努力をつづけているのか、問われています。
用語の定義を厳密に守りながらも日本らしい翻訳ができれば、さらに日本語の科学の発展が期待できるのかもしれません。
グローバル化だけが、進む道ではありません。
ピアレビューの限界
著者はピアレビュー *1 の問題点についても指摘していますが、同感です。「科学の速度」は早まるばかりです *2 。
公開査読(公査)のしくみが導入・整備されないか、期待しています。
*1:文中では、ピアレビューと表記され(専門家による評価)と付記されていますが、これも美しくないですね