アシュリー事件と医療の未来

 

  とあるきっかけから、アメリカで2004年に起きた事件について、知りました。このような事件を知らなかったこと、気にとめていなかったこと自体に、問題の本質が潜んでいるように思えますが、あまり話題にも登っていなかったように思います。

 
  アメリカの6歳になる重症重複障害児に対して、発育を制限するためにホルモン大量療法、子宮摘出、乳房芽の摘出という一連の医療介入が行われた、という事件です。

  この事件について、詳細に分析された本が出版されています。
 
医療介入とは何を目的にしているのか―倫理というコトバ(またはその手続き)ではすまされない、何かもっと深刻で根深い問題が潜んでいるように思える。倫理というコトバさえ、医療行使を前提としているのではないか、とさえ疑いたくなる。もう少しよく考えてみたい。


  自ら障害児をかかえる著者が、独自に情報収集をしてまとめた本です。

  まだ読了したばかりで、何と書いたらいいのか、適切なコトバで表現することが難しいと感じます。ただひとつわかることは、医療従事者にとって、手にすべき重要な本であることには違いありません。

  日常の医療現場で同様の出来事がないかと言われれば、心当たりがあります。

  海外の稀有な一事例ということにとどまらず、医療行使全般の深刻な問題に通底しているのではないだろうか。著者の懸念はあながち間違っていないように思えます。

  もう少しよく考えてみたいと思います。

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