喘息は交差付近に多い

 

  空気の違いを意識する - 地域医療日誌 by COMETにつづきます。

 
  これまでの記事からポイントをまとめてみます。
  • 排気ガスの個人曝露(推計)が多くなると、学童期の喘息発症が増える可能性がある 
  • 幹線道路沿いでは、PM2.5はやや高い濃度となっている
  • PM2.5の居住内への流入が多いと喘息発症が多い
  • 東京都の喘息発症は西高東低
  喘息発症と居住地の関係はどのようになっているのか、少し気になっています。
 
  特に、幹線道路との関係はどの程度わかっているのでしょうか。
 
  PubMedで検索したところ、ありました。
Juhn YJ, Qin R, Urm S, Katusic S, Vargas-Chanes D. The influence ofneighborhood environment on the incidence of childhood asthma: a propensity scoreapproach. J Allergy Clin Immunol. 2010 Apr;125(4):838-843.e2. doi:10.1016/j.jaci.2009.12.998. Epub 2010 Mar 17. PubMed PMID: 20236695; PubMedCentral PMCID: PMC2962617.
P▶ ミネソタ州ロチェスターで1976-1979年に出生した小児
E▶ 高速道路や鉄道の交差付近の地域に居住することは
C▶ それ以外の地域に比べて
O▶ 喘息発症が多いか
T▶ 予後、コホート研究 
《結果》※※
3970人が出生、11人が出生時死亡し、3959人が対象(平均観察期間4.9人年)。転居・死亡・脱落により、3933人を追跡。
1976-1983年までに215人が喘息と診断。
propensity scoreにてマッチングしたところ、
主要な高速道路や鉄道の交差する地域に居住する人
喘息発症:ハザード比 1.385-1.669

  高速道路や鉄道の交差付近に住んでいる人は、喘息の発症が1.4~1.7倍多い、という結果でした。

  以前紹介した、propensity scoreが使われています。詳細はこちらをご覧ください。


  最近の報告ですが、やや古いデータが使われて解析されています。新しいデータでも、このような道路や鉄道との関連は出ているのでしょうか・・・?

  メイヨークリニックのJuhnさんは、居住環境と喘息の発症に関する研究をされているようです。今後の活動にも注目したいところです。

※記事内容は論文を紹介するものであり、一定の学術的な見解や治療指針を示すものではありません。詳細は原著論文をご参照ください。

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