中国から飛来して一躍注目された微小粒子状物質、PM2.5。その健康への影響についての論文は、意外とたくさん報告があります。その中で、気になる論文がありましたので、ひとつご紹介したいと思います。
Jung KH, Hsu SI, Yan B, Moors K, Chillrud SN, Ross J, Wang S, Perzanowski MS, Kinney PL, Whyatt RM, Perera FP, Miller RL. Childhood exposure to fineparticulate matter and black carbon and the development of new wheeze betweenages 5 and 7 in an urban prospective cohort. Environ Int. 2012 Sep 15;45:44-50.doi: 10.1016/j.envint.2012.03.012. Epub 2012 May 8. PubMed PMID: 22572116; PubMedCentral PMCID: PMC3366055.
P▶ 5~7歳の小児において
E▶ 住居内のPM2.5やすす状黒色炭素濃度が高いと
C▶ 住居内の濃度が高くないのと比べて
O▶ 新規の喘鳴発症は多いか
T▶ 予後、コホート
《結果》※※
対象は408人中、新規喘鳴18人
ロジスティック回帰モデルによると、
住居内PM2.5濃度(四分位ごとに)が高くなると、新たな喘鳴の発症は
調整オッズ比 1.51 [95%信頼区間 1.05–2.16]
すす状黒色炭素濃度(四分位ごとに)では
調整オッズ比 1.40 [95%信頼区間 0.96–2.05]
この小規模のコホート研究から、排気ガスの居住内流入と5-7歳の喘鳴発症には関連があることが示唆されています。
日本の住宅事情(狭い国土というだけではなく、住宅の気密性の問題もあります)を考慮すると、十分対策がなされているのか、心配になります。
ディーゼル規制などにより、自動車は10年前よりクリーンになっているのでしょうか。それでも、交通量の多い幹線道路沿いなどは自動車の排気ガスの影響は無視できないかもしれません。
中国からの飛来やスギ花粉も重要ですが、足元がどうなっているのか、よく考えておきたいものです。