つづけて、本の紹介です。
以前紹介した「死にカタログ」の著者で、アートディレクターの寄藤文平さんの最新作。
わかることよりもわかりやすさが求められる時代。「わかる」ことから「わかりやすさ」が分離しつつある、という指摘は鋭い。
イラスト満載で楽しませてもらいました。 「わかりやすく伝えたい」と繰り返し求められる中で、わかるとは何か、深く思索した一端がうかがえる作品です。
「わからなくても、わかりやすければいい」
人はわかりやすさを求めています。難しいことは、なんとかわかりやすく伝えようと努力しがちです。自然と、それが親切な伝え方だと思い込んでしまっているようです。
しかし、わかりやすく説明することは、わかることにつながっているのでしょうか。
たぶん、「わかりやすく伝える」ことの中には、「その素晴らしさを伝えたい」という気持ちが含まれている気がする。
楽しさ、おもしろさを、伝えようとすること。なるほど、少し肩の力が抜けたような気がします。
わかってもらおうとするから、うまくできずに悩みます。しかし、楽しさを伝えようとすることなら、なんとかできそうな気がします。
わかりにくいことをわかりにくいまま伝えることも、時には大事なのではないか、とも思います。
少なくとも、わかりやすいことを目標にしないことは肝に銘じたいと思います。