カプノサイトファーガ・カニモルサス

 

 子供は犬に舐められても大丈夫でしょうか? - 地域医療日誌 by COMETにつづきます。

 
  それでは、犬の唾液からもらう可能性のある病気には、どんなものがあるのでしょうか?ふたたびUpToDateから。
Camille N Kotton. Zoonoses from dogs. In: UpToDate, Basow, DS (Ed), UpToDate, Waltham, MA, 2012. 
Infectious saliva — Saliva can transmit and contaminate bite wounds, skin abrasions, or mucous membranes. Dog bites are the most common type of animal bite with most bites occurring in children. Bacterial contamination occurs with all animal bites, however, only 5 percent of dog bites develop local infection [8].

  噛まれて感染するだけではなく、皮膚の裂創や粘膜から感染する可能性があります。犬咬傷による細菌感染は5%であるとの報告があるようです。

  唾液から感染する病気としては、以下が挙げられています。

  • Rabies —狂犬病
  • Pasteurella — パスツレラ
  • Capnocytophaga — カプノサイトファーガ
  • Brucella — ブルセラ

  あまりなじみのない病気も・・・・ここでおさらいしておきたいと思います。参考となる情報源をいくつかご紹介します。

動物由来感染症|厚生労働省
  まずはこちらでしょうか。とてもわかりやすいパンフレットが公開されています。残念ながら、パスツレラはのっていないようので、こちらで。

 

横浜市衛生研究所:パスツレラ症について
予防のためには・・・  犬や猫との接触に注意しましょう。寝室に犬や猫を入れないようにしましょう。犬や猫とベッドで一緒に寝ないようにしましょう。犬や猫とキスしないようにしましょう。犬や猫にエサを口移しで与えないようにしましょう。犬や猫と接触したら手洗い・うがいをしましょう。

感染症トピックス:「パスツレラ症」の日本の現状認識に違いがあった!? 1

 

  カプノサイトファーガについては、厚労省サイトにQ&A;のページがあります。
カプノサイトファーガカニモルサス感染症に関するQ&A|厚生労働省
<予防対策について>
Q4 感染しないために、どのようなことに注意すればよいですか?
A4  一般的な動物由来感染症予防の対応と変わりありません。日頃から、動物との過度のふれあいは避け、動物と触れあった後は手洗いなどを確実に実行してください。
 なお、 脾臓摘出者、アルコール中毒、糖尿病などの慢性疾患、免疫異常疾患、悪性腫瘍にかかっている方、高齢者など、免疫機能が低下している方は、重症化しやすいと考えられますので 特に注意してください。
Q5 イヌやネコを飼っているのですが、大丈夫ですか?
A5  免疫機能が低下していなくとも、咬傷や掻傷から感染し、発症する事例があるため、日頃から、動物との過度のふれあいは避け、動物と触れあった後は手洗いなどを確実に実行してください。
 本病だけでなく、一般的な感染症予防のためにも、重要です。


  重症化した報告が国内でも14例あり、増加傾向にあります。死亡例も散見されており、見逃さないように注意したいと思います。

  Rocky noteにも記事ありました。

[PDF] カプノサイトファーガ症(120306)


  確かに、抗菌薬で治療できますので動物咬傷では抗菌薬処方を考慮しがちになりそうです・・・。

※記事内容は論文を紹介するものであり、一定の学術的な見解や治療指針を示すものではありません。詳細は原著論文をご参照ください。

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