急性中耳炎に対する鼓膜切開についての研究をいくつか確認してきました。
鼓膜切開はしたほうがよいのか?(1) - 地域医療日誌 by COMET
これまでのところ、1991年までの3つのランダム化比較試験では、鼓膜切開の有効性について示されたものはありませんでした。
2005年の日本の比較試験で、 鼓膜切開によって中耳炎の早期再発や反復性中耳炎は少なくなりませんが、滲出性中耳炎の発症は少ない、という結果が出ています。研究デザインに限界がありますが、長期フォロー後の経過については今後更なる検討が必要かもしれません。
しかし、このような研究結果の変遷に関わらず、耳鼻咽喉科では伝統的に鼓膜切開は行われてきたのではないでしょうか。
暗中模索の耳鼻科診療
科学的根拠がなく、経験的に行われている治療はたくさんあります。また、医師の考え方ひとつによって治療方針が異なるということは、日常診療ではよくあることです。
今回の検索で、現場で模索しながら耳鼻科診療を行う専門医の声がウェブサイトに掲載されていましたので、少し引用しながらご紹介したいと思います。(テーマが滲出性中耳炎が中心となっていますので、ご注意ください。)
残念ながら、記述の根拠となる「インライン参照」がなく、情報の信頼性が不確かではありますが、おそらくその通りではないかと思われます。日本の中耳炎診療の現状がやさしくわかる内容となっています。
過去の否定を受け入れながら進む
長年続けてきた治療を否定することは容易ではありません。しかし、「エビデンスの寿命は5.5年 - 地域医療日誌 by COMET」といわれるほど、治療の変遷が早くなっています。従来の治療法が今も適正であるのか、確かめながら進めて行く必要があるでしょう。
今後も鼓膜切開についても注視していきたいと思います。
暗中模索の耳鼻科診療
科学的根拠がなく、経験的に行われている治療はたくさんあります。また、医師の考え方ひとつによって治療方針が異なるということは、日常診療ではよくあることです。
今回の検索で、現場で模索しながら耳鼻科診療を行う専門医の声がウェブサイトに掲載されていましたので、少し引用しながらご紹介したいと思います。(テーマが滲出性中耳炎が中心となっていますので、ご注意ください。)
やさしくわかる滲出性中耳炎
滲出性中耳炎アドバンスト
アドバンスト滲出性中耳炎
急性中耳炎に対する治療
近年、小児急性中耳炎の治療には小児科医が積極的に取り組んでおられます。内服薬の処方など、ほとんどの場合は適切な治療が行われていますが、小児科の治療で、最も大きな問題点は経過観察という点だと私は考えています。急性中耳炎の診療は適切なものでも、ほとんどの小児科医はその後、鼓膜の状態をチェックしません。これは私の小児科医へのアンケート調査でもはっきりと結果に出ています。
鼓膜切開
鼓膜切開はかつて欧米でも滲出性中耳炎の小児に盛んに行われていたので、その臨床データは豊富にあります。その結果では、鼓膜切開術は滲出性中耳炎に対して、効果がないと結論づけられています。これは膨大なデータを元にした、きわめて信頼性の高い結論です。
鼓膜切開は、私はほとんど行いません。私が滲出性中耳炎児に鼓膜切開を行うのは、患児本人にひじょうに不快感が強い場合や聴力低下という病気の意識が母親にまったくなく、その点に気づいていただいて治療に取り組むきっかけにする場合などです。
鼓膜切開を行う医師の間では、鼓膜切開の回数は、通常、数回程度にとどめておくというのが一般的な考え方ですが、中には何度でも鼓膜切開を繰り返して良いと考える医師もいます。小児の恐怖心が強い場合には2回以上すべきでない場合もあります。長年の経験から鼓膜切開を行っている医師の治療方針を覆すことは容易ではありません。自ら信じて行っている行為を頭から否定されて反発を感じない人は、医師に限らず、いないでしょう。
暗中模索の滲出性中耳炎
滲出性中耳炎診療は、我々医師にとっても、どうしたらいいのか、特に治りにくいお子様の治療方針で悩むことが実は少なくありません。その理由は滲出性中耳炎のことがまだあまりわかっていないというのが主な理由です。ごく日常的にある病気についてあまりわかっていないというのは一般の方々にとっては意外なことと受け止められるかもしれませんが、それは残念ながら否定しがたい事実なのです。
残念ながら、記述の根拠となる「インライン参照」がなく、情報の信頼性が不確かではありますが、おそらくその通りではないかと思われます。日本の中耳炎診療の現状がやさしくわかる内容となっています。
過去の否定を受け入れながら進む
長年続けてきた治療を否定することは容易ではありません。しかし、「エビデンスの寿命は5.5年 - 地域医療日誌 by COMET」といわれるほど、治療の変遷が早くなっています。従来の治療法が今も適正であるのか、確かめながら進めて行く必要があるでしょう。
今後も鼓膜切開についても注視していきたいと思います。