高圧送電線とアルツハイマー

 

 アルツハイマー病の危険因子を調べていて、さらに恐ろしい論文が発表されていました。2009年に発表されたスイスの全国コホート調査です。

Huss A, Spoerri A, Egger M, Röösli M; Swiss National Cohort Study. Residence near power lines and mortality from neurodegenerative diseases: longitudinal study of the Swiss population. Am J Epidemiol. 2009 Jan 15;169(2):167-75. Epub 2008 Nov 5. PubMed PMID: 18990717.
■220-380kVの高圧送電線の近くに住む人は
■送電線の遠くに住む人と比べて
■神経変性疾患の発症が多いか
■予後、コホート研究
■結果(※※)
220-380kVの高圧送電線から50m以内に住む人は、600m以上離れている人と比べて
アルツハイマー病発症の調整ハザード比 1.24 (95% CI: 0.80, 1.92)
これには明らかな量反応関係が認められた。
5年以上では 1.51 (95% CI: 0.91, 2.51)
10年以上では 1.78 (95% CI: 1.07, 2.96)
15年以上では  2.00 (95% CI: 1.21, 3.33)

高圧送電線の近くに長年住むと2倍

  驚くべき結果です。原著もフリーで入手できますので、ぜひご覧ください。

  少なくとも高圧送電線の50m以内に住む人は、アルツハイマー病の発症が1.24倍多い傾向があるという結果です。

  スイスでは、高圧送電線の600m以内に9.2%が居住しており、問題が深刻であると判断したようです。結果も公表されていますので、大きな話題になったのではないでしょうか。

国内の送電網は?

  それでは日本はどうでしょうか?

  そもそも200-380kVとはかなり高圧な送電線で、「超高圧送電線」と呼ばれているようです。国内では、超高圧送電線は一体どこを走っているのでしょうか?

  インターネットで調べようとすると、大きな壁に突き当たります。情報がなかなか見つかりません。その理由はこちらのようです。

系統利用に関する情報公開ルール[PDF]
2005年4月1日施行 東京電力株式会社

   残念ながら、自宅の近くに高圧送電線があるかどうかは、簡単には知り得ない情報になっているようです。

  事故予防の観点から対策を講じたのでしょうが、やはり気になります。さらに検索してみることにしました。

つづく
 
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