低栄養では生命予後がよくないことは明らかです。しかし、低栄養状態の人に栄養補給を行うと、予後が改善するか、というのは別問題です。
延命治療として取り上げられる人工栄養。本当に延命効果はあるのか、死亡率を検証したランダム化比較試験のメタ分析が2007年に発表されています。
Koretz RL, Avenell A, Lipman TO, Braunschweig CL, Milne AC. Does enteralnutrition affect clinical outcome? A systematic review of the randomized trials. Am J Gastroenterol. 2007 Feb;102(2):412-29; quiz 468. Review. PubMed PMID:17311654.
- 種々の疾患の人に
- 経管栄養を行うと
- 行わないのと比べて
- 死亡率が少ないか
結果(※※※)
- 治療、メタ分析
13RCTの統合、n=1032
経管栄養を行うと、死亡率が2%少ない傾向にある。(95%信頼区間 -5%~+1%)
疾患毎では、
慢性肝疾患 -18%(95%信頼区間 -35~-1%)
急性膵炎 -1%(95%信頼区間 -12~+10%)
重症疾患(critically ill) 0%(95%信頼区間 -9~+8%)
高齢者 -4%(95%信頼区間 -7~-1%)
大腿骨頸部骨折 +2%(95%信頼区間 -11~+16%)
嚥下障害のある脳卒中でも、早期に経管栄養を行なっても何ら効果がなかったというRCTがあるようです。
治療方針を決定する場合、そもそも効果がどれほどなのか、まずはそこからよく検討すべきと思います。
(つづく)