携帯電話の長期間使用することによって、脳腫瘍のリスクがあるのではないかと懸念されていました。
このほど、BMJ誌にデンマークのコホート研究が掲載されましたので、ご紹介します。
Frei P, Poulsen AH, Johansen C, Olsen JH, Steding-Jessen M, Schüz J. Use ofmobile phones and risk of brain tumours: update of Danish cohort study. BMJ. 2011Oct 19;343:d6387. doi: 10.1136/bmj.d6387. PubMed PMID: 22016439; PubMed CentralPMCID: PMC3197791.
■携帯電話を長期使用している人は
■携帯電話を使用していない人と比べて
■脳腫瘍の発生は多いか
■予後、コホート研究
■結果(※※)
携帯電話契約者 358,403人
観察期間 3,800万人年
すべての部位のがん(罹患率比)
携帯電話非契約者
男性 107,840人(1.00)
女性 130,918人(1.00)
携帯電話契約者
男性 14,462人(0.96, 95%信頼区間 0.92-1.00)
女性 2,795人(1.02, 95%信頼区間 0.98-1.06)
脳腫瘍(中枢神経系)(罹患率比)
携帯電話非契約者
男性 4,397人(1.00)
女性 5,486人(1.00)
携帯電話契約者
男性 714人(1.02, 95%信頼区間 0.94-1.10)
女性 132人(1.02, 95%信頼区間 0.86-1.22)
13年以上の携帯電話契約者
男性 89人(1.03, 95%信頼区間 0.83-1.27)
女性 6人(0.91, 95%信頼区間 0.41-2.04)
携帯電話でがんや脳腫瘍は増えない
デンマークの国をあげての大規模な研究結果ですが、がんや脳腫瘍については増えていないという結果でした。(残念ながら、日本ではこのような研究はできそうにありません。)
この規模をもってしても、13年以上の長期使用については脳腫瘍の発生数自体が少なく、仮説を立証したり否定したりすることがいかに困難であるかが、信頼区間の広さからもわかります。
悪いニュースにならなくて、とりあえずよかったです。