中耳炎に痛み止めは使ってよいか

 

  「中耳炎に痛み止めはなるべく使わないほうがいい」というのは本当でしょうか?

  外来で質問されました。鎮痛剤は急性中耳炎の基本的な治療のひとつとしてあげられていると思いますが、新しい研究でもあるのでしょうか?調べてみました。

  二次情報データベースを検索しても、鎮痛剤は有害であるという記述はありません。PubMed検索(Clinical Queries)してみましたが、新しい情報は見つかりませんでした。

  めぼしい論文といえば、これくらいでしょうか。残念ながら入手できず、抄録のみです。
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Bertin L, Pons G, d'Athis P, Duhamel JF, Maudelonde C, Lasfargues G, Guillot M, Marsac A, Debregeas B, Olive G. A randomized, double-blind, multicentre controlled trial of ibuprofen versus acetaminophen and placebo for symptoms of acute otitis media in children. Fundam Clin Pharmacol. 1996;10(4):387-92. PubMed PMID: 8871138.

■急性中耳炎と診断された小児(1~5歳)に
■抗菌薬に加えて48時間イブプロフェンまたはアセトアミノフェンを投与すると
■抗菌薬に加えてプラセボを投与するのと比べて
■鼓膜所見(スコア)の改善は早いか
■治療、ランダム化比較試験
■結果(※※)
219人を3群にランダム割り付け
48時間後の鼓膜所見に有意差はみられなかったが、プラセボに比べてイブプロフェン、アセトアミノフェンでよい傾向がみられた。
48時間後の疼痛については、イブプロフェンでは有意に改善がみられた。
疼痛あり:イブプロフェン7%、アセトアミノフェン10%、プラセボ25%
治療の忍容性に問題はなかった。
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中耳炎の鎮痛はアセトアミノフェンで

  追跡率やITT解析かどうかは抄録からわかりませんでした。しかし、少なくとも、鎮痛剤を使うと悪いという結果ではないようです。

  小児急性中耳炎のガイドラインにもアセトアミノフェンの記載があります。
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Minds
小児急性中耳炎症例の治療アルゴリズム
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ブルフェンは5歳以上から

  ちなみに、イブプロフェンの小児への使用については、国内ではこのようになっています。
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ブルフェン顆粒20% 添付文書(抜粋)
小児等への投与
低出生体重児、新生児、乳児又は4歳以下の幼児に対する安全性は確立していない(使用経験が少ない)。
用法用量
イブプロフェンとして、通常、成人は1日量600mgを3回に分けて経口投与する。
小児は、
5〜7歳 1日量 200〜300mg
8〜10歳 1日量 300〜400mg
11〜15歳 1日量 400〜600mg を3回に分けて経口投与する。
なお、年齢、症状により適宜増減する。また、空腹時の投与は避けさせることが望ましい。
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  添付文書上では、5歳以上から使用することとなっています。効能効果も急性上気道炎の解熱・鎮痛ですが・・・。


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