塩分制限で心血管疾患死亡は減るのか?

 

  2011年7月に塩分制限のコクランレビューが出ましたので、ご紹介します。
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Taylor RS, Ashton KE, Moxham T, Hooper L, Ebrahim S. Reduced dietary salt for the prevention of cardiovascular disease. Cochrane Database Syst Rev. 2011 Jul 6;(7):CD009217. PubMed PMID: 21735439.

■高血圧、心不全または血圧が正常の成人に
■塩分制限または塩分制限するように指導すると
■プラセボまたは指導なしと比べて
■総死亡、心血管疾患死亡は減るのか
■治療、メタ分析

  
■結果(※※※)
7研究(参加者6489人)の結果を統合
総死亡については
正常血圧:相対危険 0.90(95%信頼区間 0.58~1.40)
高血圧:相対危険 0.96(95%信頼区間 0.83~1.11)
心不全:相対危険 2.59(95%信頼区間 1.04~6.44)
心血管疾患死亡については
正常血圧:相対危険 0.71(95%信頼区間 0.42~1.20)
高血圧:相対危険 0.84(95%信頼区間 0.57~1.23)

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塩分制限の有効性は証明されていない

  塩分制限で血圧が下がるということは明らかになっていますが、果たして、それによって長期的に心血管疾患が減るのかどうかについては結論が出ていませんでした。

  今回のメタ分析でも、塩分制限についてはまだ研究数が少なく十分な確証が得られているわけではありません。しかし、少なくとも、塩分制限で総死亡や心血管疾患死亡が減っているという証拠はまだ得られていないのです。

  なお、これらの研究ではNa 70~100mmol(塩分換算では4.1~5.9g/日)に制限目標を設定されている研究でした。

心不全ではむしろ有害?

  心不全がある人については、塩分制限により総死亡が増えているというひとつのランダム化比較試験が出ています。こちらにも今後注目したいと思います。

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