豊かになったために忘れかけたもの

 

  ある朝、出勤途中の満員電車で、白杖の男性と乗り合わせました。席を譲ると、礼を言いながら、さっと、まるで目が見えているかのように杖を折りたたんで座りました。

  視覚障害により、研ぎ澄まされる知覚、感性。目をつぶってみると、今まで耳に入っていなかった音が聞こえてきます。匂いでどんな人が前に座っているかも、感じられるようになります。

  視覚のために犠牲になった感性があるのでしょうか・・・。豊かになったために忘れかけたものがあるのかもしれません。


  iPhoneとツイッターは、なぜ成功したのか?を読みました。

iPhoneとツイッターは、なぜ成功したのか?
林 信行
アスペクト
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  iPhoneは持っていませんが、「マイクロ化」などこれからのビジネスに共通するヒントがあり、楽しめました。

  ツイッターで時々バグがあり、動作が不安定になることがあるが、多少そのような「緩さ」が残っていたほうがいい、というようなことが書かれていました。
  また、ナビサービスや電車の正確さと伝統ある和菓子屋さんの包装を例に、画一的な効率化の危険性について触れられていました。

  便利なサービスや機械に人間自身が振り回されていかないように、ある程度の「緩さ」を許容する寛容さ、またはその「緩さ」が組み込まれたサービスが求められているのかもしれません。

  すし詰めの満員電車から降りてくる人々がホームをかけ降りていきます。毎日何が生まれているのでしょうか。

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