逆流性食道炎で治療している女性に聞かれました。
「普段、どんな注意をしたらよいのですか?」
調べてみたところ、炭酸飲料(carbonated soft drink)が影響するという研究がありましたのでご紹介します。
コホート研究(Fass, 2005年)
■睡眠障害と心血管疾患の関連を調べるコホート研究に参加した人で
■どんな項目が
■夜間の胸焼けの予後因子となるか
■予後、コホート研究
■結果
15,314人の対象者のうち、3,806人(24.9%)に夜間の胸焼け症状がみられた。
有意差がみられた項目とオッズ比(調整後)と95%信頼区間は以下の通り。
いびきと昼間の眠気 2.16 [1.77~2.63]
BMIの増加 1.17 [1.07~1.29]
不眠 2.05 [1.73~2.44]
ベンゾジアゼピン系薬剤 1.50 [1.13~1.98]
炭酸飲料 1.24 [1.07~1.45]
高血圧 1.27 [1.10~1.47]
気管支喘息 1.31 [1.03~1.68]
炭酸飲料は1.24倍、夜間の胸焼けがふえるという結果でした。ひょっとしたら、発症と関連があるかもしれませんし、やめることで症状が軽くなるかもしれません。
2010年にシステマティックレビューが出ているようですので、そちらも読んでみることにしました。
システマティック・レビュー(Johnson, 2010年)
■胃食道逆流症に関するいろいろな研究に参加した対象者について
■炭酸飲料は
■胃食道逆流症の予後因子になるか
■予後、システマティック・レビュー
■結果
胸焼け症状が24%増えるというFassらの研究もあるが、症状と炭酸飲料との関係がはっきりしないという研究もいくつかある。現時点では炭酸飲料の消費量と症状との関連を断定することはできない。
最初のコホート研究以外には、あまり炭酸飲料の関与を証明された報告はなかったようです。
本文の記載は以下のようになっています。
Carbonated beverages and GERD symptoms
Overall, carbonated beverages have not been consistently shown to cause GERD-related symptoms.1
Fass et al. have demonstrated that consumption of carbonated beverages increased the risk of having heartburn that awakens subjects from sleep during the night by 24% (OR 1.24 95% CI 1.07–1.45).20
In contrast, several population-based studies were unable to demonstrate any relationship between GERD-related symptoms and carbonated beverage consumption.21, 22
Furthermore, a systematic review of lifestyle modifications for GERD could not find even one study that evaluated the effect of cessation of carbonated beverage consumption on GERD-related symptoms.9
Consequently, the authors were unable to make any evidence-based recommendation related to carbonated beverage consumption.
さて、このシステマティック・レビューは観察研究を統合したものです。結論はさらに将来の研究に委ねられることになりそうですが、この研究はある炭酸飲料メーカーからの出資を受けていることにも注目です。
Declaration of funding interests: This manuscript was supported in part by The Coca-Cola Company in Portugal.