ジェネリックは安価であるという理由から、その使用が広く勧められていますが、安全性については議論があるところです。今後、臨床研究で検証されていくことでしょう。
2010年5月に、てんかんの治療薬(抗けいれん薬)について、注目すべき研究が発表されていますので、ご紹介します。
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Labiner DM, Paradis PE, Manjunath R, Duh MS, Lafeuille MH, Latrémouille-Viau D, Lefebvre P, Helmers SL. Generic antiepileptic drugs and associated medical resource utilization in the United States. Neurology. 2010 May 18;74(20):1566-74. Epub 2010 Apr 14. PubMed PMID: 20393142.
■てんかんで治療中の人が
■ジェネリック薬の抗けいれん薬を内服すると
■ブランド薬の抗けいれん薬に比べて
■薬や医療サービスの利用が増えるか
■治療、コホート研究
■結果 33625人、平均追跡期間4年
<薬の利用> 他の抗けいれん薬や抗けいれん薬以外の薬の使用
ブランド薬 31.38/人年 ジェネリック薬 36.76/人年
調整発生率比 1.13 [95%信頼区間1.13–1.14]
<医療サービスの利用>
入院
ブランド薬 0.24/人年 ジェネリック薬 0.32/人年
調整発生率比 1.31 [95%信頼区間1.26–1.35]
外来
ブランド薬 17.14/人年 ジェネリック薬 20.89/人年
調整発生率比 1.17 [95%信頼区間1.17–1.18]
いずれも、安定・不安定の患者で同様の傾向だった。
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いずれもブランド薬に比べてジェネリック薬のほうがサービス利用が多くなっていたという結果です。入院については、ジェネリック薬のほうが1.3倍多くなっています。
著者らは、実際に薬の効き方に違いがある可能性と、「ネガティブプラセボ効果」(ジェネリックであることを患者が知ったためにサービス利用がふえる)の可能性を指摘しています。特に、治療域の狭い抗けいれん薬の場合には、効き方の違いのために重大な副作用や事故がおこりかねないのではないかと懸念されているようです。
今後もジェネリック薬については十分な検証が必要でしょう。