日本糖尿病学会は、HbA1cで診断する新しい診断基準を発表しました。
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糖尿病新診断基準が本日正式発表,日常臨床では当面JDS値のみ使用日本糖尿病学会(JDS)は本日(5月27日),岡山市で開催中の第53回年次学術集会で記者会見を開き,新たな糖尿病診断基準を正式発表した。昨年(2009年)11月発表の中間報告案(関連記事1),今年3月発表の理事会合意案(関連記事2)と同じく,糖尿病型の判定指標にHbA1cを追加し,その測定値には米国などを中心に普及しているNGSP値に相当する値を採用。ただし,「NGSP値」という表現は用いず,従来のJDS値に0.4%を加えた「相当値」であることを示す注釈を入れることとなった。
(一部抜粋)
HbA1c測定値に国際間でばらつき
HbA1cは過去1〜2か月の平均血糖レベルを示す、糖尿病の指標です。しかし、その測定法や測定標準物質の違いにより、国際間でばらつきがある点が問題となっていました。
日本国内ではJDS(Japan diabetes society=日本糖尿病学会)として標準化が進められていました。現在、国内で測定されるHbA1cはJDS値です。
一方、世界的なHbA1cの標準化としては、米国を中心とした、NGSP (National Glycohemoglobin Standardization Program)が良く知られています。
また、国際的な標準化を進めるという流れで、国際糖尿病連盟(IDF),国際臨床化学連合(IFCC),米国糖尿病学会(ADA),欧州糖尿病学会(EASD)がHbA1c値を国際標準化してIFCC値(nmol/mol)に統一する「HbA1c値国際標準化についての共同声明」を発表しています。
これらの換算方法については、こちらに説明されています。
HbA1c測定値に国際間でばらつき
国内基準(HbA1c)+0.4%=海外基準(A1c)
換算が煩雑ということで、JDSに0.4%を加えたものをNGSPとすることが定められました。これで、糖尿病の新診断基準は6.1%以上となると思います。
海外の論文の解釈にも注意が必要ですね。
基準の根拠について
糖尿病新診断基準HbA1c 6.1%以上の根拠については、こちらに詳しく書かれています。
ここでは、A1Cのみを指標として糖尿病を診断した場合の特性についても書かれています。
A1C 5.5% (HbA1c 5.1%)を基準とした場合
感度 98.7%、特異度 83.5%(LR+ 6.0,LR- 0.016)A1C 7.0% (HbA1c 6.6%)を基準とした場合
感度 98.2%、特異度 100%(LR+ 1295,LR- 0.89)
つまり、HbA1c 6.6%以上では糖尿病は確定ということになります。反対にHbA1c 5.1%未満では、糖尿病はほぼ除外できるということでしょう。
それにしても、この「なんごろく」、なかなかすごいです。日本版Dynamedのようです。コンテンツ充実を期待しています。
2016-02-16 過去記事を統合・一部修正しました。