HbA1c 7.5%が死亡率最低

 

 

 また、糖尿病の厳格治療がよくないことを示唆する研究がLancetに発表されています。

 英国のUK General Practice Research Database(GPRD、英国家庭医リサーチデータベース)からの報告です。後ろ向きですが、糖尿病の治療を強化した4万7千人の22年間にわたるコホート研究です。

Currie CJ, Peters JR, Tynan A, Evans M, Heine RJ, Bracco OL, Zagar T, Poole CD. Survival as a function of HbA(1c) in people with type 2 diabetes: a retrospective cohort study. Lancet. 2010 Feb 6;375(9713):481-9. Epub 2010 Jan 26.
PubMed PMID: 20110121.

  • 治療を強化した2型糖尿病患者は
  • HbA1cが低くしたほうが
  • 死亡率が低くなるか
  • 予後、後ろ向きコホート研究
  • 結果
    HbA1cを10段階で分けると、中央値7.5%の段階が最も死亡率が低い。
    HbA1cが低くなる(中央値6.4%)と、ハザード比1.52(95%信頼区間 1·32–1·76)と死亡が多くなる。
    逆にHbA1cが高くなる(中央値10.5%)と、ハザード比1.79(95%信頼区間1.56-2.06)と死亡が多くなる。 


死亡率はUカーブとなる

 HbA1c 7.5%を境に、上がっても下がっても死亡率は増えていた、という結果でした。これはコホート研究ですが、これまでのランダム化比較試験ACCORD, ADVANCE, VADTと矛盾もなく、やはり強化療法については否定的な結果であると思われます。

 HbA1cはほどほどがよいのでしょう。

 

英国の臨床研究GPRD

 しかし、GPRDってすごいですね。これまでのランダム化比較試験を受けてデザインされたと思いますが、リアルタイムの診療情報をエビデンスとして収集され、すぐに論文化されています。

 

 英国恐るべしです。日本は完全に遅れをとっていますね・・・この差はいずれ将来、大きなものとなるでしょう。

 

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