さて、NHSトラストを調べていて「North West London Hospirals NHS Trust」を検索していたら、「TGN1412事件」という記事がヒットしてきました。みなさんご存知でしょうか?
2006年に英国で起きた事件ですが、日本ではあまり報道されなかったようです。私も不勉強で知りませんでしたが、一体どんな事件だったのでしょうか?調べてみました。
示唆に富む情報が多数流れています。関心のある方はぜひ「TGN1412」で検索してみてください。一部をご紹介します。
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薬害オンブズパーソン会議
モノクロナール抗体TGN1412の「ヒトでの初めての試験」で全員が多臓器不全
米国や日本でヒトでの初めての試験を急ぐ動きを紹介したが(※1)、そうした動きへの警鐘とも言えるヒトでの初めての試験での極めて重大な事故が、英国で発生した。昨年3月にEMEA(欧州医薬品庁)からオーファンドラッグ(稀少薬)の指定を受けるなど、がん、関節リウマチの治療薬として期待されていたモノクロナール抗体TGN1412が、英国で行われた「ヒトでのはじめての試験」で、被験者の6人全員が多臓器不全のためにICU(集中治療室)に入院、うち2人が重体、病院が生き地獄の様相を呈するという極めて重大なことが英国で起こり、2006年3月15日BBC放送(※2)をはじめ英国のマスコミが大きくとりあげた。
ランセット誌2006年3月25日号、BMJ誌2006年3月15日号が論説で、ネーチャー誌2006年3月23日号がニュース欄で、この事件をとりあげている。
(一部抜粋)
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日本薬学会
英国での抗体治験薬(TGN1412)の有害事象について
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たいへん恐ろしい事件ですね。新薬の第Ⅰ相臨床試験で、投与した全員が多臓器不全となる前代未聞の事件がNorth West London Hospirals NHS TrustのNorthwick Park病院で2006年に起きていたのです。
幸い全員は一命をとりとめたようですが、臨床試験の安全性確保という面について、この想定外の事件から学ぶべきものは大きかったのではないでしょうか。
つづく