ブログ「地域医療の方法」のno kiddingを引用しつつ、整理しながら書いてみます。
一次医療の衰退化は深刻
これは論理的根拠があることではなく、あくまでも現場での経験的直感としか言い得ませんが、一次医療の衰退化が現在の医療問題に何らかの影響を与えているのではないかと思います。
病院総合医ではなく、一次医療を担う家庭医。この人材育成が追いついていないのではないかと思っています。
日本はまだまだこれからです。
この10年のプロダクト
追い風は吹いています。それも強力です。10年前までは世の中で家庭医というものは、全く理解されていませんでした。へき地などの地域医療を進んで目指す人はほとんど皆無だったでしょう。
それが今、たくさんの若い医師たちが関心を持ち、目を向けるようになっています。これはこの業界10年のプロダクトだったと確信しています。
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へき地医療は誰もやりたくないのだから自治医大卒業生がそれをやるのは当然の義務である(うん、その通り)。自治医大生がそれを終生やる義務などないのだから早く専門を持ちなさい(現実的にはその通り)。確かに後輩たちの多くはこのようにして昔の僕らとは違う形のキャリアを持つことになるし、それはどうも避けられないことであると、最近は納得もしているのだけれど、なにか大事なことが大きく損なわれているのだ。へき地に住む人たち、そこで生涯を終える人たち、そのそれぞれの具体的で個別の人生の困難さへの共感がこれらの議論には欠けているでしょ?
(一部抜粋)(地域医療の方法 no kidding)
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義務によってジェネラリズムが育まれた
・自治医大卒業生がへき地医療をやるのは当然の義務である。
・終生やる義務などないのだから早く専門を持ちなさい。
これにはほぼ同意します。「早く」の部分だけはそう思いませんが。
へき地などで行われる一次医療も専門のひとつ(家庭医療)です。自治医大卒業生がキャリアのひとつとして、内科、外科、小児科、整形外科、救急などを専門として専攻していくのと同じように、家庭医療があるだけです。
へき地という過酷な現場を経験した臨床医は、どんな専門に進んでも、幅広いジェネラリズムという基礎をもった専門家になれるでしょう。これこそが今、どの分野でも求められているはずです。
どんなキャリアでもいい、自らがジェネラリズムをもった専門家になり、ジェネラリズムをもった専門家を育成していくこと。これが自治医大卒業生に課された役目(十字架)だと思います。
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いわゆる技術者や科学者としての医師とその人生から発想される議論の展開に僕はきっと回転性のめまいを感じていたのだった。30年たっても結局変わらない。地域医療の専門医を、情熱をもって自ら進んで地域医療を実践し研究する新たな医師たちをつくることの必要性をなんど繰りかえして話したことだったろう。
(一部抜粋)(地域医療の方法 no kidding)
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若い医師たちが参入しつつある今、地域医療を実践し研究する新たな医師たちをつくるのは、まさにこれからです。
足踏みしている余裕はありません。どんどん下から登ってきています。