2008年にクリーブランドクリニックとGoogle Personal Health - 地域医療日誌 by COMETで紹介したGoogle Personal Health(その後Google Healthへと改称されています)。その後の展開を追跡してみたところ、偶然、最近注目すべきニュースがあったようです。
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健康管理の場は家庭にも広がる――コンティニュア参加各社が具体像を提示
NPO法人のコンティニュア・ヘルス・アライアンスと国内参加企業14社は2010年2月17日、同団体が策定した健康機器のデータ通信インタフェースに関する標準規格「コンティニュア設計ガイドライン」に準拠した製品や、それらを利用したサービスを発表した。体温や血圧などの情報をPCや携帯電話に転送できる機器や周辺サービスの充実で、健康管理の場を病院のみならず家庭にも広げたい考えだ。
コンティニュアは、血圧計や体重計などの「健康機器のIT化の促進」や、「通信規格の標準化」を目的に米インテルが中心となって2006年6月に設立した業界団体である。参加企業は2009年12月時点で227社。オムロンヘルスケアやエー・アンド・デイなどの健康機器メーカーから、インテルやグーグル、富士通などのIT企業まで顔ぶれは幅広い。
コンティニュア設計ガイドライン準拠の健康機器は、PCや携帯電話などの端末とデータ通信できる。例えばガイドラインに準拠した通信規格を持つPCと血圧計を利用すると、血圧データを血圧計からPCに自動転送して蓄積することが可能だ。利用できる通信規格は、有線の「USB Personal Healthcare Device Class」、無線の「Bluetooth Health Device Profile Specification」の2種類だ。
蓄積した健康情報は通信端末内での閲覧だけでなく、インターネットを介して病院に送信したり、「Google Health」や「Microsoft HealthVault」といった個人の健康情報を登録できるパーソナル・ヘルス・レコード(PHR)サイトに送信して活用することなどを想定している。
同日はコンティニュア参加各社が様々な新製品・サービスを発表した。イーフローが発表したのは、グーグルの通信端末向け基盤「Android」を導入した情報端末を中心としたシステム構築サービス。健康機器からの情報をAndroid端末に蓄積し、Google Healthに健康情報を自動送信するシステムを構築するものだ。グーグルのオンラインカレンダー「Google Calendar」と連携し、医師が次回の来院日や薬を飲む時間をGoogle Calendarに入力すると、Android端末がアラームで通知する機能を実装することも可能だ。
発表会には、帝京大学本部情報システム部部長の澤 智博氏が登壇。コンティニュア設計ガイドラインの準拠機器が、医療現場のIT化を完成する“ラストワンマイル”になると期待を込める。「MRIやCTといった検査用の医療機器と、電子カルテや病院内の情報システムとのデータ連携は進んでいる。一方で血圧計や体温計、体重計などの臨床機器はデータ通信の仕組みの実装が遅れており、システムへのデータの取り込みが進んでいなかった」。同大学では、ガイドライン準拠機器を導入した実証実験を2010年3月にも開始する。
コンティニュアの日本地域委員会代表企業であるインテルの吉田 和正社長は、家庭や病院へのコンティニュア設計ガイドライン準拠機器の導入は急速に進むと強調。「家庭と病院で取得した健康情報を統合して管理・閲覧する事例が2010年内にも出てくる」と主張した。
(IT Leaders 2010年2月19日)
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家庭用医療機器の相互接続へ、ガイドライン準拠製品が14社から登場へ
家庭用医療機器の相互運用などを目指した米NPO法人のContinua Health Alliance(CHA:コンティニュア・ヘルス・アライアンス)は2月17日、相互接続などについて定めた「コンティニュア設計ガイドライン」に準拠した健康管理製品を披露した。
(中略)
リック・クノッセン氏
CHAの代表であるリック・クノッセン氏は、日本を「コンティニュア設計ガイドラインの先駆者」と位置付け、革新的な技術を持つ存在として大きな期待を寄せていると述べた。また、CHA日本地域委員会の代表企業であるインテルの吉田和正氏は、ガイドラインに準拠した製品を使用することで情報の一元管理が可能となり、ユーザーが自分の健康状態を自宅で経過観察できることが大きなメリットになるとした。
計測したデータはBluetoothなどを介して自動的に転送されるため、手入力によるミスを防止できるメリットがある。また、訪問看護などの分野では作業が効率化され、コミュニケーションの時間を増やせるという。吉田氏は事例として、セントケア・ホールディングの「訪問看護アセスメント」、エム・オー・エム・テクノロジーの「総合健診システム」、総務省ユビキタスタウン構想推進事業の「自治体遠隔疾病管理ソリューション」を紹介した。
帝京大学の澤智博氏
ゲストとして登壇した、帝京大学本部情報システム部部長で、医学部附属病院において麻酔科学講座を持つ澤智博氏は、医療現場では、医療不信の増大や医療への過大な要求、医師の集団辞職などといった問題が起きていると語る。コンティニュア設計ガイドラインに準拠した機器を活用することで、日々のデータを観察して異常を早期に発見し、生活スタイルを修正して健康を増進させ、医療機関への負担が軽減できるとした。また、大量のデータを解析できれば医学の研究にも役立つという。
コンティニュア設計ガイドラインに対応した製品は、アライヴ、イーフロー、エー・アンド・デイ、NTTデータ、NTTドコモ、エム・オー・エム・テクノロジー、オムロンヘルスケア、カデンザ、シーエスアール、セントケア・ホールディング、メディカル・データ・ビジョン、太陽誘電、タニタ、東芝、パナソニック、日立ソフトウェアエンジニアリング、フリースケール・セミコンダクタ・ジャパン、マインドツリー、ミュートス、菱洋エレクトロ、Nonin Medical、Nordic Semiconductor、Yellow Digita1 Health Labから登場する予定だ。
(CNET Japan 2010年2月19日)
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ガイドラインに準拠することについて、多くの企業から賛同が得られているようです。血圧測定記録が自動で電子カルテに入力される日も近いことでしょう。医療機器の進歩が期待できる分野だと思います。今後に期待します。