医療予算の圧縮を求める財務省の見解への反論が厚生労働省ホームページに掲載されています。asahi.com記事から。
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「医療費、国際的には低水準」厚労省、財務省に反論
厚生労働省は27日、医療予算の圧縮を求める財務省の見解への反論をまとめ、ホームページ(HP)上で公表した。日本の医療費の水準は国際的に低いと主張。鳩山政権が目指す医療再生のため、十分な予算の確保を求めた。年末の予算編成に向けて論争が始まった。
発端は19日の野田佳彦財務副大臣の記者会見。物価や給与水準が下がる中で「ドクターだけ高止まりでいいのか」などと述べ、医療行為や薬の公定価格である診療報酬の引き下げを求め、財務省のHP上で見解を示す方針を表明した。
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診療報酬を引き下げるということは、医療水準を落とすことに直結します。医療崩壊が社会問題となっている現状では、医療水準を落とすという国民的合意はまだ得られていないように思います。
野田財務副大臣がどのような文脈で述べられた言葉なのかわかりませんが、物価や給与水準だけで診療報酬を推し量ってよいのかどうか。よく将来の社会情勢を見据えて議論する必要があるのではないでしょうか。
以下、厚生労働省からの反論です。
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「平成22年度予算編成上の主な個別論点(医療分野)」に対する見解について
(我が国の医療費は諸外国に比べ低水準にあります)
○ 我が国の医療費は、国際的にみても低水準(対GDP比はOECD30カ国中21位)で、医療現場の努力により効率的かつ質の高い医療を提供してきました。しかし、高齢化の進展による患者増などにより、医療現場は疲弊しています。
○ 三党連立政権合意においては、「医療費(GDP比)の先進国(OECD)並みの確保を目指す」とされています。また、マニフェストにおいては、「医療従事者の増員に努める医療機関の診療報酬(入院)を増額する」とされています。
(診療報酬=医師の報酬ではありません)
○ 診療報酬は、病院や診療所に対して支払われるものです。診療報酬は、医師や看護師、薬剤師など様々な医療従事者が協働してより良い医療サービスを提供することや、治療に必要な医薬品、医療機器、さらには病院の建物本体などを整備するために使われています。
○ しかし、先進国と比較して低い医療費水準が長年続いたため、救急、産科、小児医療など医療現場の医療従事者の疲弊は著しく、国民の命を守るより良い医療を提供するための更なる検討や努力が必要です。
(配分の見直しで生み出される財源は大きくありません)
○ これまでの診療報酬改定においても、例えば、小児科については診療報酬を引き上げる一方、眼科のコンタクトレンズ検査料を引き下げるなど、診療科間の格差の是正は行ってきています。
○ また、前回の改定では、病院の勤務医対策のために、診療所に関する診療報酬を見直して400億円の財源を捻出するなど、病診のバランスにも配慮してきています。
○ しかし、総額で34兆円、医科だけでも26兆円にもおよぶ医療費の規模を考えると、仮にこうした見直しを行うにしても、医療再生のためには、もう一段の検討や努力が必要です。
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たしかに、医療再生のためには、もう一段の検討や努力が必要でしょう。