がん検診は本当に推進してよいのか?(3)

 

 「がん検診に関する検討会」を調べてみました。中間報告が公表されていました。
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老人保健事業に基づく乳がん検診及び子宮がん検診の見直しについて
がん検診に関する検討会中間報告

II 検討の視点
 老人保健事業に基づき市町村で実施されているがん検診は、1982年の制度発足以来、多くの研究やそれに基づく検討が行われてきたが、本検討会においては、乳がん検診及び子宮がん検診を見直すにあたって、以下の事項を特に重視することとした。
(1)
 検診による死亡率減少効果 がん検診の有効性の考え方については、「がん検診の有効性評価に関する研究班報告書」(1998年3月、主任研究者:久道茂)にあるように、さまざまなものがあるが、本検討会においては特に「新たながん検診手法の有効性の評価報告書」※1で報告されたがんの死亡率減少効果に関する科学的根拠の有無を重視した。また、その際にはわが国のデータのみならず、諸外国における評価※2※3及び実施状況等※4も考慮した。
(2)
 がん検診の受診率 今後のがんの死亡率の大幅な減少を目指して、死亡率減少効果のあるがん検診の受診率を向上させることを主眼においた。
(3)
 疾病の特性に応じた対応 がん検診の方法や対象が設定された当時には、その発症原因が不明であったが、これまでの研究で発症原因が特定されてきたがんについては、その原因の特性を十分に考慮することとした。また、対象とするがんの最近の罹患状況、死亡状況及びこれらの今後の動向予測に基づき、増加傾向にあるものを検討の対象とした。 また、最近の診断技術及び治療技術の進展により、早期に介入することによって、これまで以上に予後やQOL(Quality of Life:生活の質)の改善が図られる点を考慮した。 また、一般集団のみならず、特にハイリスク層に対して重点的にアプローチする必要のあるものを重視した。
(4)
 リプロダクティブヘルスの推進 生涯にわたる女性の健康とQOLの向上を重視し、特に、次世代への影響の観点から妊娠、出産への関わりを勘案した。
(5)
 実施体制 検診の需要に応えられる体制や受診しやすい環境の整備を検証するとともに、検診従事者や検診機器の量的・質的な確保とその精度管理を重視した。 また、集団に対する普及啓発や健康教育及び個人に対する相談体制の充実についても考慮した。

VI 提言
 今まで述べてきたことを踏まえ、本検討会としては、検診によるがんの死亡率減少効果の観点から、以下を提言する。

1 検診の見直しについて

(1)乳がん検診
(1)検診方法
 マンモグラフィによる検診を原則とする。年齢による乳腺密度やマンモグラフィによる検診体制の整備状況を考慮して、当分の間は視触診も併せて実施することとする。
(2)検診対象年齢
 40歳以上とする。
 30歳代の視触診単独による検診及び超音波による検診については、今後引き続き調査・研究を進める必要がある。
(3)受診間隔
 2年に1度とする。

(2)子宮頸部がん検診
(1)検診対象年齢
 20歳以上とする。
(2)受診間隔
 2年に1度とする。

(3)子宮体部がん検診
(1)検診対象年齢
 子宮頸部がん検診の受診者のうち、有症状者及びハイリスク者に対しては、第一選択として、十分な安全管理のもとで多様な検査を実施することができる医療機関の受診を勧奨する。
 しかしながら、本人が同意する場合には、子宮頸部がん検診に併せて、適切な安全管理のもとでの子宮体部の細胞診を実施する。
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 「死亡率減少効果のあるがん検診の受診率を向上させることを主眼においた。」とあります。少し本質的なデータに近づいてきたように見えます。
 このような提言に至った背景には、死亡率減少効果がある根拠が示されているのでしょうか。さらに熟読してみます。

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