しばらく寝かせていたテーマです。
「患者のための医療情報収集ガイド」でメディアドクターについて紹介されていましたが、これも医療情報の質を評価するための試みのようです。調べてみました。
医療記事を客観評価するメディアドクター(医学と病気・医療と健康)
新聞などの医学記事を、専門家の目で「診断」する-。こんな「メディアドクター」の動きが豪州や米国、カナダで広がりつつある。医学・健康記事は、読者の関心がもっとも高い分野であると同時に、直接生命にかかわることもある。しかし、記事の根拠について、読者が確かめる手段はほとんどないのが実態-。そんな問題意識が、メディアドクターの背景にある。
取り組みがもっとも早かったのは豪州。公衆衛生の研究所が2004年、医師や記者による評価をスタートさせた。国内の主要メディアがウェブサイト上で報じた記事を対象とし、評価結果を記事発表後2週間以内にホームページに掲載。読者からの追加コメントも受け付け、記事に対する批判をメディア側にフィードバックできるようにした。
10項目の評価項目からみて、記事が適切かどうかを採点。項目は、
(1)治療の新規
(2)実際に治療が受けられるかどうかという治療アクセス
(3)治療コスト
(4)必要以上に不安をあおっていないか
(5)科学的根拠の質
(6)副作用など治療の弊害
などで、それぞれについて、評価者が「満足」「不満」「評価対象外」をチェック。「満足」の獲得割合で評価し、結果は星の数で表し、最高ランクは5つ星となる
これまでの判定では、比較的満足度の高い評価が付くのは、「あおり」「新規性」「報道資料への依存」などの項目。半面、「コスト」や「弊害」では満足度は高くなかった。また、インターネットだけで記事を流すオンライン媒体は活字媒体に比べて満足度が低い。記事の長さが限られる上、時間に追われて十分に調べることができないまま書かれたとの指摘もある。こうした動きは06年にはカナダ、米国へ波及。対象は、医療機器やサプリメントなどを扱った記事にも拡大。米国では「タイム」など週刊誌の記事もチェックされる。
(共同通信社、2007年4月24日)
こちらでも紹介されています。
メディアドクター(Genki ConCierge イヴの元気案内人)
随分前に記事で紹介されていたのですね。
日本で実証試験が行われたことも紹介されています。
ある記事を巡って、医師が
「科学的根拠のない記事は書くべきではない」
と批判したのに対し、記者サイドからは
「(根拠の)数字ばかりの記事は読者に好まれない」
と応じる場面もあったとのことです。
立場の違いが明確になる象徴的な場面だったと思います。
正確な情報よりもより多くの読者に読んでもらうことが目的のメディア。
より正確な情報を伝えたい専門家。
相互理解するには大きな溝がありそうです。メディアドクターが生まれた背景もよく理解できます。
本場media doctorをのぞいてみました。
Media Doctor Australia
いきなり記事のratingsが並んでいます。一定の基準で★がついていますが、なかなか厳しく評価されている記事もあります。
Rating informationにはカテゴリー別の評価基準が紹介されています。記事ごとの評価結果も公開されており、評価に対して意見があればフィードバックできるようになっています。
Newcastle Institute of Public Healthの15人で作成しているようです。これはなかなかすごいですね。
2016-02-15 記事の統合と一部修正を行いました。