ひきつづき報告書(骨子)の紹介を。
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現状の家庭医療・総合診療の提供体制についての認識と課題
我が国において、現時点で家庭医療、総合診療に従事している医師の大多数は、内科、外科を含めて各診療科の診療に専ら従事し、該当する診療領域において(専門医研修を含め)研修教育を受けた病院勤務医師が、第2のキャリアパスとして診療所において開業したものである。専門医としてのプライマリケア領域を担うべき体系的な研修プログラムの課程を修めた家庭医は現状ではごくわずかしか存在しない。今後も各診療科の専門領域からの総合診療領域への移行は続くと考えられる。このとき問題となるのは、専門医からの移行による総合診療医ではプライマリケアが担うべき地域医療のニーズに対応できず、そのため地域における偏在の問題を解消できない、へき地医療体制を確保できないということと、その総合診療医としての質の担保ができないということである。
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地域医療の現状の問題点を的確に指摘されているものと思います。地域医療の担い手を育成するしくみがないため、第2のキャリアパスとした開業医に依存してきたこと、それが地域医療のニーズにマッチしていなかった、質の担保がなかったという現状を浮き彫りにしています。
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家庭医・総合医の地域における位置づけ
家庭医・総合医は幅広い疾患の管理だけでなく、生活、家庭環境などの背景を踏まえた上で、予防や健康増進までを含めた医療を展開することから、地域に根ざした医師として、各々の地域の特性に応じた連携や、医療の提供体制の中に位置づける必要がある。こうした医師を養成する、あるいはこれからの医療提供体制に位置づけるという視点で考えると、その養成プロセスや行う医療の具体像をより明確にすることができる。つまり、疾患の特性や公衆衛生、社会的な背景基盤などの地域性に根ざした医療、つまり「地域が育てる医師」による医療ということになる。
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「地域が育てる医師」の必要性が強調されています。このような医師をどう育成すればよいのでしょうか。
つづく