ネット検索で膨大な医療情報が入手できるようになりました。しかし、その情報の質にはばらつきがありそうです。
質の高い医療情報とはどんな情報か?少し考えてみたいと思います。まずネットで検索してみました。
看護ネット
聖路加看護大学COE研究員の的場智子さんからの情報です。
ホームページに書かれた内容の質については一定の評価方法がまだあまり確立していません。しかし、次の基準をポイントとしてご覧になると良いでしょう。
- 営利性のない情報か
- 掲載された情報の根拠が記載されている、または引用が明らかにされているか
- 掲載された情報の記載日が明らかにされているか
- 編集方針(editorial policy)、利用者のプライバシー保護などについての考えを示しているか。
- 他のサイトへのリンクが豊富にあるか。ページの信頼性を保障したサイトへのリンクがあるか。
- サイトは見やすく作っているか、アクセスしやすいか。
この情報が掲載されている「看護ネット」はどうでしょうか。
- 聖路加看護大学が21世紀COEプログラム(21世紀センターオブエクセレンス)によって取得した大型研究補助金(平成16年~平成20年)により、「市民主導型の健康生成をめざす看護系形成拠点」というテーマのもと様々な開発研究を行っているそうですが、その一環として作成された媒体であること
- 記載者が明記されている
- 「プライバシーポリシー」が示されている
など、多くのポイントが満たされています。
情報の掲載日は記載されていませんが、サイトのどこかに記載があるかもしれません。
当ブログも開設して1年。編集方針とプライバシーポリシーの作成を、今後の課題としたいと思います。
IT関連記事から
この話題でネット検索するのも限界がありそうですが、少し勉強してみました。今さらですが、情報収集しながらこのブログも改善していきたいと思います。
日経BP社のITproの記事 *1 から。
生死を分ける? ネット上の医学情報はどう使われているか
- 人の命がかかっている状況下で、素人がインターネットに頼って医学情報を漁るのは,むしろ危険
- ネット上の医学情報を活用する人は多いが、合理的な利用は少ない
- ほとんどの人が「行き当たりばったり」の情報収集をしている
- 混沌とした情報の中から正しい知識を獲得する人がいるのも事実
2002年の記事ですが、ネット上では的確な情報収集には至っていないことが伺われる内容でした。膨大な情報の中から、今必要な医療情報を獲得することは、かなり難しくなっているのではないでしょうか。
この傾向は何も患者に限ったことではなく、医療従事者も状況は同じです。
どの情報が信頼できるのか、悩める毎日です。
医療情報提供のルール
検索した範囲では、医療情報提供に関するルールがいくつかあることがわかりました。
NGOのHealth On the Net Fundationのルールを大分大学のAkira Shimaokaさんが翻訳されたもののようです。
まず、このHONcodeをもとに、このサイトを自己評価してみたいと思います。
1. 医学に関する教育を受け、資格をもつものが提示していること
医師免許を持っていることは提示しておりませんでした。記載が必要かもしれません。
2. 医師と患者の関係を支援するものであること
利用者が患者である場合、これらの医療情報をもとに主治医とよく話し合うことが重要です。やはりこの点は注釈が必要でしょうか。
7. webサイトへの財政・物的支援
個人が運営するブログですので、特に支援母体はありません。この点も記載が必要でしょう。
8. 資金源
このサイトに掲示されているAmazonの広告はアフィリエイト広告で紹介料が発生しており、当サイトの運営に役立てています。
まだまだ改善点が見つかりそうです。
インターネット医療協議会
医療情報サイトを一定の基準で審査する機関もあるようです。
日本インターネット医療協議会のサイトには、利用者のための手引きが公開されています。
インターネット上の医療情報の利用の手引き
こちらを使って自己評価をしてみたいと思います。
1. 情報提供の主体が明確なサイトの情報を利用する
情報提供者の名前、所在地、連絡先が明示されていて、その実在が確認できることが重要、とのことですが、当ブログでは提供する情報の個人情報保護の観点から、匿名としております。
4. 公共の医療機関、公的研究機関により提供される医療情報を主に利用する
公共の医療機関が提供した情報がより正確であるという保証はないのではないでしょうか。ネットの多様性という利点を削がれてしまう項目のように思います。
7. 情報の利用は自己責任が原則
8. 疑問があれば、専門家のアドバイスを求める
10. トラブルに遭った時は、専門家に相談する
「専門家」というのが何を指示しているのか解釈が難しいですが、原則として、利用者が患者である場合、これらの医療情報をもとに主治医とよく話し合うことが重要です。
主治医と見解が違うのであれば、その理由をよく尋ねるべきです。第三者に相談するより、まず主治医と相談することが、よりよい医療を受ける出発点ではないでしょうか。
やはりこの点には注釈が必要なのでしょう。
医療情報の認証・審査には問題点も指摘されているようです。
「日本インターネット医療協議会」の問題点を考える
http://www.abe.or.jp/yuragi/jimaproblem/index.html
他にも興味深いサイトが多数ありますが、今回はこれ以上深入りしないでおきたいと思います。
有用なリンク集をひとつご紹介しておきます。
健康情報の質と信頼性、Webの信頼性
http://www.nursessoul.info/nurse/webcredibility.htm
議論は尽きそうにありません。今後もよく追跡していきたいと思います。
今回確認された改善点は、順次このブログでも反映させていきたいと思います。
2016-02-15 記事の統合と一部修正を行いました。
*1:リンク切れのため原文追跡できなくなっています。