奇跡のリンゴ―「絶対不可能」を覆した農家・木村秋則の記録(幻冬舎)を手にしました。木村さんは青森県弘前市(旧岩木町)で、既成概念を覆して無農薬でリンゴを栽培するという偉業を成し遂げています。
自然を細切れに分解して理解しようとするのが自然科学の方法論だが、無数の命がつながり合い絡み合って存在している生きた自然の全体と向き合うのが百姓の仕事だ。
文明はあまりに進歩し、人間は自分達の根っこがどうなっているか忘れてしまったのかもしれません。根っこがだめになっていると、いつまでも、より強力な農薬を撒きつづけなくてはならなくなります。このことは非常に示唆に富みます。
たとえば具合が悪いからすぐ救急に頼る風潮は、社会の根っこが弱っているのかもしれません。それに対して救急体制を構築しようとすることは、より強力な農薬を撒こうとすることではないでしょうか。
百の仕事をして全体を取り扱うことは、百姓も家庭医も似ています。根っこをどうするのか考えられる百医でありたいものです。