厚生労働省はこのほど、「安心と希望の医療確保ビジョン」会議を開き、地域医療に取り組む3人の院長から意見を聞いた。席上、舛添要一厚生労働相は地域医療の在り方について、ネットワークや連携を重視する考えを改めて強調し、「医療について国の形を変える必要がある。47都道府県では医療資源の密度を緊密化できない。国の形にかかわるような大掛かりな仕掛けが必要」と述べ、現在の保健医療圏などを見直す必要性を示した。
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この会議は、長期的な視点から日本の医療の課題を整理する目的で、舛添厚労相が今年1月に設置した。6回目を迎えた今回のテーマは「地域医療」で、小川克弘氏(むつ総合病院院長)、草場鉄周氏(北海道家庭医療学センター理事長)、須古博信氏(済生会熊本病院院長)が意見を述べた。
小川氏は、患者の心身の状況を全般的に把握するかかりつけ医や総合医などの「一般医」を育成することや、勤務医の負担を軽減する必要性を強調。勤務医の負担軽減の方法として、「医師がやらなければならない仕事は限られているので、スリム化が必要。認定看護師などに医師の業務を委譲していくべきで、現在の医師法を改正する必要がある」と述べた。
続いて、草場氏が「若手家庭医の主張」と題して、医療法の中に「総合科」を位置付ける必要性を訴えた。「標榜(ひょうぼう)科名はやはり内科、小児科になってしまう。患者への説明にも困ることがしばしばあり、学術的にも法的にも認知されていない現状がある」と述べ、家庭医療(総合科)専門医の養成プログラムの確立や、確かな指導力を持つ家庭医療(同)指導医の養成の必要性を訴えた。
ヒアリング終了後、舛添厚労相が意見を述べた。認定看護師などに医師の業務を委譲する必要性を指摘した小川氏に対しては、医師と看護師らとの役割分担の範囲を検討する研究会を発足させることに意欲を見せた。
また、医療法の中に「総合科」を位置付ける必要性を主張する草場氏に対しては、「ダブルトラップで総合科と家庭医があっていい。ただ、標榜科の名前はさらに検討が必要だ」とコメントした。