かかりつけ医からの情報提供は診断に必須

 

 下痢が止まらない、という方が受診されました。普段は診療所(内科医院)で治療を受けており、たくさんの薬を飲んでいるようでした。

「いろいろ病気をお持ちのようですが、病名はわかりますか?」
・・・「心臓が悪いっていわれている。あと最近泌尿器科からも薬をもらっている」
「たくさん薬をお飲みのようですが、名前はわかりますか?」 
・・・「さあ?」
「下痢してから内科医院にかかりましたか?」
・・・「具合悪い時には大きな病院へ行きなさいと言われているから」

 このようなやりとりは病院の外来では頻繁に行われます。患者側としては、循環器科泌尿器科のことはいいから消化器科の問題を対処してほしい、ということでしょうが、診断・治療をする上で、基礎疾患はいいから下痢だけ対処する、ということは不可能です。これまでの背景・治療内容がわかってはじめて正確な診断が下されるのです。

 普段の様子をよく把握しているかかりつけ医だからこそ、正確な判断を下すことができる可能性があります。薬の副作用などが見つかることもあります。具合が悪いときこそ、かかりつけ医は診察をして「大きな病院」を受診すべきかどうか、いつ受診すべきかを判断し、診療情報提供書を発行して医療機関に情報提供すべきではないでしょうか。それがかかりつけ医の本来果たすべき役割です。
 
 結局、診療所に情報提供をお願いすることになりますが、その対応で信頼できるかかりつけ医かどうか、ひとつの目安になっています。信頼できるかかりつけ医はすぐにFAXなどで情報提供をしてくれます。不幸にも普段の治療に関する情報が得られなければ、ひととおりの検査を受けていただくしかありません。それでもわからないこともありますので、推測するしかなくなり、危険を伴います。また、慢性疾患評価のための検査は、重複して検査を行うこととなり、医療費の無駄遣いとなっています。

 かかりつけ医は病状が変化した時に、その真価が問われます。
「具合が悪かったら大きい病院へ行って。」ではなく、
「具合が悪い時も、なるべく一度かかってください。病院へこちらから紹介します。」とご説明いただきたいです。患者さんの信頼も得られるのではないでしょうか。

 かかりつけ医からのの情報提供は、正確な診断のために必須です。

Community Medicine Toolbox, Copyright © 2003, 2007-2019 地域医療ジャーナル