ビタミンB12欠乏症の早期診断に「携帯電話徴候」 - 地域医療日誌 by COMETにひきつづき、ビタミンB12欠乏症についてです。ビタミンB12は胃壁細胞から分泌される内因子と結合して、回腸末端部で吸収されるといわれています。
ビタミンB12欠乏症は頻度が1.5%-15%といわれ、十分に診断されていないという報告もあります。悪性貧血の他にもピロリ菌保菌やメトフォルミン、プロトンポンプ阻害剤の長期投与によってもおこるとされていますが、有名なのは胃全摘術後です。胃がなくなると内因子が枯渇するため、ビタミンB12が吸収されなくなり、欠乏します。このため、ビタミンB12欠乏症の治療は経口投与ではなく注射で行われることが一般的です。
しかし、通院治療が困難な場合はどうしたらよいのでしょうか?経口投与で治療はできないのでしょうか?
Cochrane Database Syst Rev. 2005 Jul 20;(3):CD004655. Evid Based Med. 2006 Feb;11(1):9. Oral vitamin B12 versus intramuscular vitamin B12 for vitamin B12 deficiency.
Vidal-Alaball J, Butler CC, Cannings-John R, Goringe A, Hood K, McCaddon A, McDowell I, Papaioannou A.
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/16034940
- ビタミンB12欠乏症の人に
- ビタミンB12を経口投与すると
- 筋注に比べて
- 血清ビタミンB12値は改善するか、自覚症状は改善するか
- 治療、システマティックレビュー
結果(2つのランダム化比較試験)
高用量(1000mcgと2000mcg)経口投与では、筋注と比べて短期的な差はなかった。
2つのランダム化比較試験という限られた研究しかなかったようです。経口治療の可能性も全くないわけではなさそうですね。これは、内因子に結合せずに直接回腸末端から吸収されるビタミンB12があるからのようです。