乳酸菌飲料では
抗生剤を投与すると下痢の副作用がよくみられます。ヨーグルトを食べると、この下痢が予防できるのではないか、という研究がいくつかありますので、ご紹介したいと思います。
BMJ. 2007 Jul 14;335(7610):80. Epub 2007 Jun 29. Use of probiotic Lactobacillus preparation to prevent diarrhoea associated with antibiotics: randomised double blind placebo controlled trial. Hickson M, D'Souza AL, Muthu N, Rogers TR, Want S, Rajkumar C, Bulpitt CJ.
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/17604300
- 抗生剤投与中の50歳以上の入院患者135人(平均年齢74歳)に
- 乳酸菌飲料(カセイ菌、ブルガリア菌、サーモフィルス菌を含む)を投与すると
- プラセボと比較して
- 下痢は減るか
- 治療、ランダム化比較試験
結果
乳酸菌飲料:下痢の発生12%
プラセボ:下痢の発生34%
治療必要数NNT=5
栄養士さんが行った研究ですが、BMJ誌に載っています。
5人に乳酸菌を投与すると1人の下痢が予防できるということで、いい結果が出ています。
しかし、脱落がやや多く、それが解析に組み入れられていない(=ITT解析されていない)こと、ヨーグルトは味でわかってしまうため、マスキングが保てなかったこと、などの問題点も指摘されています。
Probioticsとは「適切な量を摂取すると宿主に健康上利益をもたらす生きた微生物」のことですが、最近その効果について注目されています。
バイオヨーグルトでは
これまで行われたいくつかの研究では、ITT解析(割り付けした通りに解析すること)がなされていないという問題がありました。
また、市販ヨーグルトは細菌数が十分でなかったり、腸内で生存できるかどうか証明されていない、という問題もあるようです。
そこで、細菌が腸内で生存できることが確かめられている「バイオヨーグルト」と市販ヨーグルトを比較した追試がありましたので、みておきましょう。
British Journal of General Practice 2007. 57(545);953-959. Does eating yogurt prevent antibiotic-associated diarrhoea? A placebo-controlled randomised controlled trial in general practice. Conway S, Hart A, Clark A, Harvey I
- ひとつの家庭医の診療所を受診し、1週間以上の抗生剤投与が必要とされた人(1歳以上)に
- ヨーグルト150mlを抗生剤開始と同時に12日間(バイオヨーグルトまたは市販ヨーグルト)摂取すると
- ヨーグルトを摂取しないのと比べて
- 抗生剤開始後12日以内の下痢の発症は減るか
- 治療、ランダム化比較試験
結果
バイオヨーグルト 9/131(7%)
市販ヨーグルト 13/118(11%)
ヨーグルトなし 17/120(14%)
統計学的有意差なし(p=0.20)
バイオヨーグルトは市販ヨーグルトやヨーグルトなしに比べて少しよさそうな結果でしたが、統計学的には有意な差を検出できなかったようです。
それにしても、市販ヨーグルトの細菌は腸内で生存しているかどうかわからないとは・・・驚きました。もう少し調べてみたいです。
※ 2016-02-14 過去記事を統合・一部修正しました。