X線検査で年間約1万人の癌が発生?!

 

X線検査、特にCT検査は多くの医療機関に普及し、臨床現場で手軽に検査をオーダーできるようになりました。世界では日本のCT設置数は飛び抜けて多く、世界で1人/人口1000人以上の医師がいる日本以外の国のCT設置数の合計と同じと言われています。臨床現場で役立つ反面、放射線被曝の害についても敏感にならなくてはなりません。

Lancet. 2004 Jan 31;363(9406):345-51. Risk of cancer from diagnostic X-rays: estimates for the UK and 14 other countries.Berrington de González A, Darby S. PMID: 15070562

  • 医療機関を受診した人に
  • X線検査を行うと
  • 癌の発症はどれほど増えるか
  • 害に関する推計


結果
UKでは年間がん発症の0.6%(700人)がX線検査被爆によるものと推計
日本では年間がん発症の3.2%(7587人)、CT検査数(推計)を合わせて4.4%(9905人)がX線検査被爆によるものと推計

日本の原爆コホートのモデルとLNT仮説を使って推計しています。論文には、日本のX線検査数が飛び抜けて高くなっている表が載っており、名指しで(被爆国である)日本の検査数の多さが指摘されています。臨床の検査依存度が高いということは、情報として有用性の高い病歴・診察などの重要性が低くなることでもあり、臨床能力が問われているのではないか心配です。

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