若い女性が、最近手が黄色くなった、との訴えで受診されました。手掌と足蹠が明らかに黄色となっておりましたが、結膜や体にはみられませんでした。いくつか医療機関を受診されましたが、解決しなかったようです。みかんや野菜の過剰摂取についてはすでに指摘されており、極力注意していたようですが改善がみられなかったようです。本人はそれほど気にしてないようでしたが、周囲から治療方法がないか知りたい、とのことで受診するように言われたようでした。
血液検査では黄疸・肝機能障害は認めませんでした。
十分注意されているようでしたが、食事の注意を促す以外に方法はありませんでした。
柑皮症と思われますが、どのようにアプローチしたらよかったのでしょうか。受診当時の検索ではPubMedやGoogle検索ではあまり有益な情報が見つからなかったのですが、さきほど検索してみたところ、新しいreviewが見つかりました。
J Am Acad Dermatol. 2007 Dec;57(6):1051-8. Xanthoderma: a clinical review.Haught JM, Patel S, English JC 3rd. PMID: 17637481
- Xanthodermaは皮膚の黄染のことで、jaundice(黄疸)、carotenoderma、それ以外のもの、に分けられる。
- Carotenodermaとは、血清カロチノイドが上昇(カロチン血症)し、角質層に沈着することによる皮膚の黄色変化のことである。
- Carotenodermaの原因は3つあり、カロチノイドの過剰摂取、血清脂質上昇、カロチノイド代謝の低下がある。
- カロチノイドを多く含む食品:Alfalfa, Apples, Apricots, Asparagus, Beans, Beet greens, Broccoli, Brussels sprouts, Butter, Cabbage, Cantaloupes, Carrots, Cheese, Collard greens, Cucumbers, Eggs, Figs, Kale, Kiwi, Lettuce, Mangoes, Milk, Mustard, Oranges, Palm oil, Papayas, Parsley, Peaches, Pineapples, Plums, Pumpkins, Seaweed, Spinach, Squash, Sweet potatoes, Tomatoes, Yams, Yellow corn
- Carotenodermaをおこす疾患:2型糖尿病、甲状腺機能低下症、神経性無食欲症、肝疾患、ネフローゼ
- Jaundice, carotenoderma以外の原因としては、薬剤、職業上の曝露、悪性骨髄腫などがあるようです。
アルゴリズムによると、蛋白電気泳動や血清βカロチン値を測定しておくべきでした。しかし食品の制限もかなり難しそうなものですね。