鼓膜切開はしたほうがよいのか?(2)

 
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 鼓膜切開はしたほうがよいのか?(1) - 地域医療日誌 by COMETにつづきます。


  これまでのところ、1991年までの3つのランダム化比較試験では、鼓膜切開の有効性について示されたものはありませんでした。

  さらに、2005年には日本の研究が発表されています。

Nomura Y, Ishibashi T, Yano J, Ichikawa T, Shinogami M, Monobe H, Hirai R,Kaga K. Effect of myringotomy on prognosis in pediatric acute otitis media. Int JPediatr Otorhinolaryngol. 2005 Jan;69(1):61-4. PubMed PMID: 15627448. 
■鼓膜膨隆や中耳の滲出液貯留がみられる小児(59人)に対して
■経口抗菌薬を投与し鼓膜切開(36人)を行うと
■経口抗菌薬のみ(23人)と比べて
■急性中耳炎の早期再発、反復性中耳炎、滲出性中耳炎の発症は少なくなるか
■治療、比較試験 
■結果(※※)
早期再発(%)
鼓膜切開あり:11/36 (30.6) なし:8/23 (34.8)
p=0.780
反復性中耳炎(%)
鼓膜切開あり:9/36 (25.0) なし:3/23 (13.0)
p=0.334
滲出性中耳炎(%)
鼓膜切開あり:6/36 (16.7) なし: 10/23 (43.5)
p=0.036*

  アウトカムは以下の基準となっています。

急性中耳炎の早期再発:治癒1か月以内再発
反復性中耳炎:6か月以内に3回以上の中耳炎
滲出性中耳炎:急性症状を伴わない3か月以上の中耳滲出液貯留

  鼓膜切開すると早期再発や反復性中耳炎は少なくなりませんが、滲出性中耳炎の発症は少ない、という結果になっています。

  この研究では、ランダム割付ではなく交互割付となっている、80例のうち21例が脱落している、アウトカムの評価が盲検化されていない、などの限界があります。結果の解釈には若干注意が必要かもしれません。

  これまでの研究では、急性中耳炎の治癒などの短期的なアウトカムでの評価でしたが、この研究からは、長期的には有益性があるかもしれない、という結果になるでしょうか。今後、さらなる検討が必要と思われます。(つづく

※記事内容は論文を紹介するものであり、一定の学術的な見解や治療指針を示すものではありません。詳細は原著論文をご参照ください。

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