地域医療日誌 by COMET

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あれから16年、日本の姿は変わっていなかった

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  ここしばらく、村上春樹さんの長編小説を読み漁っていました。はじめて手にとっていますが、非常に魅力的な作品群です。

  そして、ちょうどここまでたどり着いたところでした。

アンダ-グラウンド (講談社文庫)
村上 春樹
講談社
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  1995年3月20日に起こった地下鉄サリン事件。被害者や関係者のインタビューからわかったこの事件の姿は、これまで私が知っていた印象とは大きく違うものでした。

  この事件は決して、オウム真理教が起こした毒ガス事件という、表層的な構造ではないように思えます。


  先日、カタルーニャ国際賞を受賞したスピーチで、村上さんがこう訴えかけています。
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毎日jp
村上春樹さん:カタルーニャ国際賞スピーチ原稿全文(下)

効率的であったはずの原子炉は、今や地獄の蓋を開けてしまったかのような、無惨な状態に陥っています。それが現実です。

原子力発電を推進する人々の主張した「現実を見なさい」という現実とは、実は現実でもなんでもなく、ただの表面的な「便宜」に過ぎなかった。それを彼らは「現実」という言葉に置き換え、論理をすり替えていたのです。

それは日本が長年にわたって誇ってきた「技術力」神話の崩壊であると同時に、そのような「すり替え」を許してきた、我々日本人の倫理と規範の敗北でもありました。我々は電力会社を非難し、政府を非難します。それは当然のことであり、必要なことです。しかし同時に、我々は自らをも告発しなくてはなりません。我々は被害者であると同時に、加害者でもあるのです。そのことを厳しく見つめなおさなくてはなりません。そうしないことには、またどこかで同じ失敗が繰り返されるでしょう。

「安らかに眠って下さい。過ちは繰り返しませんから」

我々はもう一度その言葉を心に刻まなくてはなりません。

<一部抜粋>

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  地下鉄サリン事件と、福島原発事故が全く同じような構造で起っているのではないか、とさえ思えてきます。

  あれから16年、効率を追求するという日本の姿は変わっていなかったのでしょう。

  日本人の倫理と規範をどう取り戻すのか。われわれ日本人全員に与えられた課題として、よく考えていきたいと思います。

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